老後の安心を築くために、長年コツコツと資産形成に励んできた人は多いでしょう。しかし、いざリタイア後になると、せっかく築いた資産を「いつ」「どう切り崩すか」で悩むケースが少なくありません。資産は「使ってこそ価値がある」もの。今回は、貯蓄から支出へスムーズに移行するためのヒントを探ります。
資産7,000万円超でも「現金不足」に不安を感じる理由
山田孝典さん(仮名・70歳)は、65歳まで会社員として働き、退職後は妻とともに月25万円の年金で暮らしています。若い頃から投資に熱心で、株式や投資信託で着実に資産を増やし、リタイア時には総資産6,000万円(預金1,000万円+証券口座5,000万円)を達成。一見、余裕のある老後が約束されているように見えました。
しかし実際は、月々の生活費が年金を2~3万円上回るため、預金を切り崩す日々。年に1度の温泉旅行(費用20万円)も預金から捻出し、5年間で預金残高は1,000万円→700万円に減少。一方、証券口座の資産は市場の好調もあり6,400万円に成長していました。
「預金が減る一方で、投資資産は手つかず。このままだと手元資金が心もとない…」 孝典さんが感じたのは、多くのシニア世代に共通するジレンマです。
「増やす思考」から「使う思考」へ 専門家が提案する3つのステップ
「安心ライン」を明確にする 「預金1,000万円」という目標は、突発的な出費や相場変動への備えとして理にかなっています。ただし、必要以上に現金を保有すると、資産全体の効率性が低下する可能性も。
資産の「役割分担」を見直す 証券口座の資産の一部を定期預金や債券など安定性の高い商品に移すことで、心理的抵抗を軽減できます。例えば、年間120万円(月10万円)を3年分の「生活費プール」として確保する方法もあります。
「楽しみ予算」を積極的に組む 資産運用の最終目的は「人生を豊かにするため」です。旅行や趣味など「使ってよし」な分野に予算を割り当て、老後を充実させる意識改革が大切です。
孝典さんのように、長年投資を続けてきた人ほど「資産を減らすこと」に罪悪感を抱きがち。しかし、適切なペースで取り崩すことで、かえって資金の流動性や心の余裕が生まれます。資産は「数字」ではなく「人生を支える道具」と捉え、ぜひ前向きな老後設計を進めてみてください。
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